抜けた乳歯のその後
- 2025年2月17日
- 小児歯科
乳歯から永久歯に生え変わりはじめるのは個人差はありますがだいたい6歳くらいからです。
まず下の前歯が抜けてそれと同時期くらいに下の第一大臼歯は生えてきます。
12~14歳くらいで上下第二大臼歯まで生え揃い、親知らずは17~21歳に生えてきます。
永久歯に生え変わったあとその歯を使い続ける期間はとても長いです。永久歯は大事ですが乳歯は初めて口から食べる時になくてはならないものです。
永久歯に生え変わり抜けた乳歯は皆さんその後どうしているのでしょうか。
今回は抜けた乳歯のその後についてお話したいと思います。
日本では
下の歯が抜けたら屋根の上へなげて上の歯が抜けたら縁の下になげる。というのが昔からよく聞く風習ではないでしょうか。
新しく生えてきた歯は古い歯のあるほうへ向かってのびると信じられているためです。
その時に「強い歯になりますように」「ネズミのはのように強くなりますように」などと声をかける場合もあります。
私自身の家は縁の下がある家ではなかったので上の歯は地面に埋めました。
他には乳歯ケースを用意し保管するかたもいると思います。
まず、抜けた歯は血液や歯肉などがついている場合があるのでよく洗浄してから保管してください。
海外では
では海外でも日本と同じように屋根の上に投げたりしているのでしょうか。
先日「「はがぬけたら どうするの?せかいのこどもたちのはなし」」という絵本を買ったのでその絵本を参考にしながら世界のこどもたちは
抜けた歯をどのようにするかお話したいと思います。
アメリカやカナダ、スペイン、イギリスなどでは抜けた歯を枕の下にいれて寝ます。そうすると夜のうちに歯の妖精がやってきて抜けた歯と交換にコインを
おいていってくれるという言い伝えがあるそうです。
日本と同じように屋根の上に投げる国もあります。中国やタイ、韓国、ベトナム、スリランカ、ブラジルなどです。
比較的アジアが多いように感じました。国が近いと風習も似るのでしょうか。とても興味深かったです。
また、ロシア、ウガンダ、南アフリカ共和国などではネズミが歯を持っていけるようにネズミが多くいる場所や巣の近くに置くそうです。
エジプト、モロッコなどでは太陽に向かって投げる習慣があるそうです。
多くの国や地域では上に向かって投げたり枕の下に入れるようですが、アクセサリーにして持っていたり動物に食べさせるという地域もありました。
さまざまな方法がありますが共通してネズミがよく登場するなと思いました。ネズミの歯は硬くなんでもかじるイメージがありますがそんなネズミのよう
に強い歯になるようにという願いが込められているのだなと感じました。
乳歯が抜けた後の歯磨きについて
乳歯が抜けたあとはまだ永久歯が見えない場合もありますし、すこし頭が見えている場合もあります。どちらの場合も歯肉はとてもデリケートな状態です。
出血などある場合はやさしく水で口をゆすいで清潔なガーゼをぎゅっとかむようにします。
歯ブラシが歯肉に強く当たらないように鏡で口の中をよく見ながらゆっくり歯ブラシを動かしましょう。
生え始めた永久歯もはじめはまだ幼弱なのでむしばになりやすい状態です。永久歯と乳歯の大きさの違う歯が並んだ口腔内は段差や陰ができやすくとても
歯磨きが難しい環境です。お子さんが自分で歯磨きした後しっかりと仕上げ磨きをしてあげてください。
それから生え変わりの時期にも大切なのが歯と歯の間の掃除です。小さいお子さんはまだ細かい手の動きがうまくできないことが多いので柄の付いた
フロス(糸ようじ)を使うとやりやすくなります。
今回一冊の絵本をきっかけに世界の風習を知れてとても面白いなと思いました。
どの国、どの地域でも強くて丈夫な歯が生えてくることを願っています。そして抜けた乳歯とコインを交換するなど、永久歯が生えてくるという子供の成長
を祝う気持ちは世界中の親が同じように思うことなんだと改めて感じて心があたたかくなりました。