特徴のある歯たち ①
- 2024年12月28日
- お口と歯の情報
歯には、稀に特徴のあるものが存在しています。
それぞれの特徴によって、良くも、悪くも、注意が必要な場合もあります。
そんな特徴のある歯についてのお話しを数回に分けてしてみようと思います。
癒合歯
「ゆごうし」と読みます。
多くの場合、乳歯の前歯に発生しますが、稀に永久歯でも起こります。
本来2本であるはずの歯がくっついた状態で生えてきている状態の歯です。
約4%という比較的高めの発生率である症例になります。
この状態の乳歯をお持ちのお子様は、該当する歯に交換する大人の歯が先天的に1本不足している場合が
多く見られます。
その確率は45%とも言われています。
乳歯と交換する永久歯は、乳歯の存在を確認してから顎の中で形成されるため、2本の乳歯が癒合している場合、
「乳歯は1本」とみなされてしまう事があるからです。
更に、永久歯との交換時期が標準とは異なってしまう事も少なくありません。
これは、本来ならば生え変わりの時に乳歯の根が自然と徐々に吸収されて歯がグラグラして、交換する永久歯が
生えてきます。
ところが、癒合歯の場合、そもそも生え変わりの時期に相違のあるお隣の歯と癒着してしまっている為、
根の吸収が上手く進みにくく交換時期がずれてしまったりする事が起こります。
歯並びに影響してしまう場合もあります。
交換する永久歯が2本しっかり生えてきてしまう場合は、生えきるスペースが不足してしまう事が多く、
歯並びにガタツキが生じてしまう事が考えられます。
逆に、交換する永久歯が1本少ない場合、最近のお子様はお口が小さい事が多いので、そのお陰で歯並びの
ガタツキが無く済む場合もゼロではありません。
しかし、お口の大きさによっては、歯の本数が不足する事で余ってしまうスペースが出来、そのスペースに向かって
近隣の歯が傾いて生えてしまう事もあります。
いずれの場合も正中という、上下の歯の中心がずれてしまう事が少なくありません。
更には、接合している部分が歯の噛む面にあるような溝になっているので、
その部分のむし歯のリスクが上がりやすく、注意が必要になります。
癒合歯の発生する原因は解明されていませんが、胎児期に歯の芽(歯胚)が作られるとき、隣の歯の歯胚とくっついて
しまうのが原因と言われています。
その要因として、近年では顎の骨が狭くなり歯胚同士の間隔が狭まってしまった、人間の歯の退化のひとつと
考える研究もされています。
また、妊娠中の母体の栄養不足や病気等との因果関係の研究もされています。
エナメル質形成不全
茶色や黄色・白。程度によって違いはありますが、歯に模様のような色がついていたり、歯自体の形が少し他の
歯と違ったりする場合もあります。
乳歯にも永久歯にも生じます。
エナメル質という歯の一番表にある層が先天的にしっかり形成されていない状態で萌出してしまう歯です。
エナメル質は、人の体のなかで一番硬いと言われています。
通常、歯はその硬い層に守られているのですが、形成不全の場合、硬さが足りないので、程度によっては、
日々のお食事で欠けてしまいやすかったり、むし歯になりやすく、またむし歯になってしまった時に
進行しやすくなります。
現在、要因として考えられ、研究されているのが、遺伝によって発生する事や、妊娠中に何らかの影響を受けてしまう事。
歯は赤ちゃんがお腹の中にいる時から作られ始めますので、発育していく過程で何らかの影響で歯の成長が
阻害されてしまう事。
また、乳歯の時に大きなむし歯があったり、強くぶつけてしまうような外傷の影響を受けてしまう事。
さらには、小児期の発熱を伴う感染症・痙攣などの病気との因果関係や、
カルシウム・リン・ビタミンDなど、エナメル質を形成するのに欠かせない成分の栄養不足も要因の1つと
考えられています。
はっきりした要因の究明が続いています。
程度によっては、凍みたり痛みを生じる場合もありますので、定期的に状態を歯科医院でチェックして頂くことを
お勧めします。
今回は2つ、特徴のある歯のお話をさせて頂きました。
他の特徴のある歯については、後日また機会を頂きたいと思います。