唾液はとっても働き者
- 2023年12月25日
- お口と歯の情報
昔、おじいちゃん、おばあちゃんに「擦り傷なんて、唾つけておけば治るから!」と言われた事があります。
子どもの頃は、外で遊びまわっては、いつも擦り傷だらけだったせいもあるかと思います。
同じような経験ありますか?
そして、これって本当なんでしょうか?
そもそも唾液の働きって、どんな物があるのでしょうか? 気にされた事、ありますか?
唾液の役割
実は、唾液はとっても働き者です。とても沢山の役割があります。
① 食事の際に口の中を潤し、食べ物を柔らかくする。
この作用によって、咀嚼しやすくなったり、パサパサしたものも飲み込みやすくなると考えられます。
② 口の中の汚れを洗い流し清潔に保つ。
この自浄作用と呼ばれる作用によって虫歯や口臭を防ごうとする力があると考えられます。
③ 口の中を健康に保つ。
唾液のお陰で、口の中の粘膜が潤い、保護・保湿されています。
また、唾液に含まれるカルシウム・リン等は歯の再石灰化を促します。
④ 味を感じやすくする。
唾液が舌の上にある「味蕾(みらい)」に味の元になる物質を運ぶことで味を感じ取ると考えられます。
➄ 消化を助ける。
唾液に含まれるアミラーゼと呼ばれる酵素が食べ物に含まれるデンプンを分解します。
この作用によって胃で消化されやすい状態になると考えられます。
⑥ 全身の健康を守る。
口から侵入してくる細菌の繁殖を防いでくれる、抗菌作用があると言われています。
また、唾液の粘液成分「ムチン」が粘膜の修復を進めたり、
タンパク質「ヒスタチン」が血管の新生・細胞同士の接着に影響し、傷の再生を促進する事が解明されています。
そして、増えすぎてしまうとさまざまな病気や、老化の促進に関わると言われている、「活性酵素」を
減少させるという事も報告されています。
つまり、先人の知恵ともいえる、「唾をつけておけば傷が治る」はあながち間違いではないという事が
証明されているんです。
唾液もさることながら、先人の知恵にもビックリしました。
そんな唾液ですが、実は99.5%が水分なんです。
残りの0.5%程度の半分が有機成分や無機成分で構成されていて、そのわずかばかりの成分の中に、
このような極めて高い抗菌物質を豊富に含んでいるって、なんだか、すごいですよね。
そして唾液の分泌量ですが、平均的に1日に1.0リットル~1.5リットル程といわれています。
お口の中に沢山ある、唾液腺と呼ばれる管から出てきています。
なかでも、「大唾液腺」と呼ばれる3つの唾液腺、「耳下腺」・「顎下腺」・「舌下腺」から、全唾液のうち95%が分泌されいるそうです。
唾液の出口に近い歯に歯石が溜まってしまいやすいのも納得できますね。
また、就寝時は起きている時と比較して、唾液そのものの分泌が抑えられている事も分かっています。
このことから、寝ている時はお口の中の菌が繁殖するなど、働きが低下します。
寝る前の歯磨き、疲れていたり、うっかり寝落ちてしまって、雑になってしまう事も少なくないかと
思いますが、出来るだけ頑張って行っていくことが、ご自身の為に重要になってきます。
昨日の晩、しっかり出来なかった方は、今夜頑張ってみて下さい。
フロス(糸ようじ)の使用も出来れば毎日が理想ですが、なかなか毎日って難しいですよね。
数週間、何か月も使わずにいると、全く使わなくなってしまいがちです。
しかし、たとえ数日に1度でも、全く使わなくなってしまうよりは遥にお口の中の為には良いですので、
まずは週に1・2度から使ってみて下さい。
日々の小さな変化かもしれませんが、数年後、積み重ねた頑張りは、とても大きな変化につながっているはずです。
少しずつ一緒に頑張っていけると、嬉しく思います。