お口の周りの筋肉(口輪筋)
- 2023年10月27日
- お口と歯の情報
今日は、お口の周りにある筋肉のうちのひとつ、「口輪筋」について、お話させていただきます。
口輪筋とは・・・
唇の周囲を取り囲んでいる筋肉になります。
主に口を閉じたり、すぼめる時に使っています。
普段、意識して使うことが少なく、加齢で衰えてしまいやすい筋肉でもあります。
そして、その口輪筋からは、たくさんの表情筋が放射線状に伸びています。
そのため、口輪筋が弱ってしまう事で、表情筋にも影響が出やすく、口角が下がってしまったり、表情が乏しくなったりしてしまいます。
また、口輪筋が弱くなってしまった事で思わぬところにも影響が及んでしまう事があります。
物を上手く飲み込めず、誤飲をしてしまいやすくなってしまったり、
発音が聞き取りにくくなってしまったり、
唇を閉じる力も弱くなり、口呼吸になりやすくなってしまいます。
近年は、それとは別で、コロナでのマスクの生活で、知らず知らず、口呼吸になってしまった方も多くいらっしゃいますね。
口呼吸をしてしまう事で、前歯に着色しやすくなったり、
口の中が乾燥しやすくなりますので、唾液の自浄作用が機能せず、プラークや細菌が抑制されなくなり、
むし歯や歯肉炎・歯周病、口臭、口腔乾燥症等お口の健康状態を悪化させてしまったり、
ウィルスや細菌が直接のどに入りやすくなり、咽頭炎や扁桃炎等、慢性的な炎症を起こしやすくなる事
も考えられます。
さらに、睡眠中にお口が開いてしまい、舌の位置がさがり気道をふさいでしまい、いびきや無呼吸症候群を起こす場合もあります。
口輪筋が衰えてしまう要因は?
加齢による筋力の低下以外の要因として、
赤ちゃんの頃にお母さんのおっぱいが良く出ていて、強く吸う必要が無く済んでしまったお子さんは、
おっぱいを強く吸わないといけなかったお子さんと比較した時に、口輪筋が発達しにくい傾向にあるという事や、
最近の食べ物の嗜好の変化で、ハンバーガーやパスタ、スナック菓子等、昔と比較すると
あまり咬まなくても良い物を好む傾向にあることも大きく影響していると考えられます。
咀嚼回数の減少だけでなく、咬みやすい、同じ方の歯ばかりで嚙んでしまう事で、口輪筋のバランスが崩れ片側が弱くなってしまう事もあります。
良く笑い、よくしゃべる方は、表情筋がとても活発に活用されます。
近年のスマートフォンやゲームの日常的な普及により、顔がうつむいている、猫背姿勢になっている時間が増えてしまった事や、メール等で要件が完結してしまい、会話をする時間が減少傾向にある事も要因の一つとして考えられそうです。
また、脳の病気による後遺症の影響の場合もあります。
口輪筋を鍛えるメリット
口輪筋が鍛えられると、口元が引き締まって口角が上がり、明るい印象になります。
また、口輪筋はお顔の様々な筋肉とも通じているので、お口元だけでなく、フェイスラインのリフトアップや、ほうれい線予防にも影響を与えます。
更に、唇をしっかり閉じられるようになるので、口呼吸の改善に留まらず、お口の中の健康をキープする事にも繋がりやすくなります。
口輪筋のトレーニング方法
道具を使わずにできるトレーニングは、お口を「う」「い」の形に動かす。それだけです。
気にして頂きたいのはたったの2点です。
「うー」と言いながら、唇を前にグッと突き出します。
その次に「いー」と言いながら、口角を引き上げます。
この2点を意識しながら、口を大きく動かしてみてください。
他には、風船を使ったトレーニング法もあります。
これは、お子様と一緒に遊び感覚で行えるかと思います。
意識して頂きたいのは、唇と頬の筋肉だけを使って風船を膨らますことです。
手は風船を支えるだけにして、風船の口を指で押さえないようにしてください。
息を鼻から吸って、風船から空気が漏れないように唇でしっかり風船をくわえながら膨らませてみてください。
楽しみながら行えると、継続もしやすいかと思います。
まずは、一度試してみてください。